レモンフロスト(Lemon Frost)はヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)のモルフの一つです。
現在レモンフロストは虹色素細胞腫という問題を抱えています。
こちらの問題については最後に記載していますので御覧ください。
レモンフロストの特徴について
レモンフロストは2018年1月現在、最も新しいヒョウモントカゲモドキの基本モルフです。
このモルフはヒョウモントカゲモドキの基本的な体の色を輝くように発色させます。
より具体的には
- 全身の白、黄色、オレンジの体色が明るくなる
- 目の虹彩部分の白色化
- 体側下部(腹部の体側寄り部分)、顎のライン(顎の裏側)へ白色が広がる
となります
虹色素細胞について
レモンフロストは本来ヒョウモントカゲモドキには存在しない、虹色素細胞を持っています。
この虹色素細胞がレモンフロストの特徴である輝く様な体色や目の虹彩の白色の量を高める効果をもたらしています。
虹色素細胞は本来ヒョウモントカゲモドキには存在しませんが、虹色素細胞は青い光を反射します。
虹色素細胞の働きについては、以下が詳しいです。
アマガエルは虹色素細胞を持ち、虹色素細胞で反射した青い光が虹色素細胞の上にある黄色素細胞層の黄色のフィルターを通って我々の目に入ることで皮膚が緑色に見えることになります。
出典: 両生類の体色変化 https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20171217141203.pdf?id=ART0007367922
また虹色素細胞の形状については、以下が詳しいです。
虹色素細胞は通常は突起を持たない、楕円状あるいは多角体状の光反射性色素胞です。
鏡のような高い光反射性(タチウオ、サンマ、カツオなどの体側・腹部の銀白色)や蛍光色のような鮮やかな色合い(ルリスズメダイのコバルトブルー、ネオンテトラ縦縞の青緑色など)が生じる。出典: 魚の体色変化の不思議を探る-バーチャルラボラトリ http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/fish/soho/change1.html
このような虹色素細胞の特徴により、レモンフロスト以外では有り得ない発色(虹色素細胞がない為、青い光が反射しない)を実現していると考えられます。
レモンフロストの発見について
レモンフロストは2012年後半か、早くても2013年にTheGourmetRodent社のスタッフが発見しました。
ノーマルのオスとノーマルのメスから繁殖した孵化したての幼体の中からユニークな個体を発見し、このユニークな個体が新しい遺伝的な可能性を持つのかテストしました。
最初に発見されたこの個体はメスで、このメスから最初の繁殖で少なくとも2頭のレモンフロストが(何匹かのノーマルと共に)孵化しました。
これによりレモンフロストは顕性(優性)遺伝、又は共優性(共優性)遺伝である事が確認されました.
(その後レモンフロストは共優性(共優性)遺伝である事が確認されました).
ただし、爬虫類業界での共顕性(共優性)は実際には不完全顕性(優性)である事が殆どとなります。
これについて詳しくは優性の法則と拡張のまとめを参照してください。
レモンフロストの最初の販売について
レモンフロストはTheGourmetRodent社がUSARK(米国爬虫類保護協会)のオークションに、ペアのレモンフロストを出品したのが最初の販売となります。
このオークションはGeckoEtc社のスティーブ・サイクスが1万ドルで落札し、当時大きな話題となりました。
レモンフロストの遺伝について
レモンフロストは共顕性(共優性)遺伝である事が確認され、スーパーレモンフロストも確認されています。
スーパーレモンフロストの情報、及び画像はGeckoEtc社のSuperLFのページで閲覧することが出来ます。
レモンフロストの腫瘍問題について
現在レモンフロストというモルフは虹色素細胞腫という問題を抱えています。
これはヒョウモントカゲモドキの中ではレモンフロストというモルフだけが持つ、虹色素細胞が腫瘍となってしまうという遺伝的な病気です。
高い確率で発病するとされており、発病後は完治する事が現在では非常に困難のようです。
この後出てくるJhon氏やSykes氏は発病したレモンフロストに対して安楽死を施しています。
症状について
この虹色細胞腫瘍は転移性の悪性腫瘍であるとされています.
皮膚上だけではなく、肝臓や腎臓などの内蔵にも腫瘍が確認されています。
またこの腫瘍が原因での死亡例の報告も出されているとされています。
腫瘍問題の経緯
レモンフロストの腫瘍問題について恐らく最初にインターネットで発表されたのは、Jhon ScarbroughがFaceBookの公開グループLeopard Gecko *Genetics*への2017年8月29日の投稿が最初となります。
この投稿の後レモンフロストの作出元であるTheGourmetRodent社、最初にレモンフロストを手にして繁殖・販売をしていたGeckoEtc社がこの腫瘍について声明を出しています。
ですがJhon氏、TheGroumetRodent社、GeckoEtc社で意見が異なり現在まで検証が続いています。
主な見解の共通点と相違点
3者の見解には共通点と相違点があります。
主な共通点としては
- 腫瘍は色素細胞腫である
- 色素細胞の中でも、レモンフロストのみが持つ虹色素細胞が腫瘍を形成する
という事です。
逆に相違点は
- レモンフロストの遺伝と切り離せない遺伝病である(Jhon氏)
- レモンフロストの遺伝と切り離せる遺伝病である(Steve氏)
- レモンフロストの遺伝とは関係ない、過度なインブリードによる近親交配が原因である(TheGroumetRodent社)
となります。
この相違点により、レモンフロストというモルフの販売・繁殖・飼育について前述したFacebookの公開グループ(Leopard Gecko Genetics)で大きな議論に発展しました。
レモンフロストの腫瘍については、レモンフロストの腫瘍に関する情報 12/4更新 | とっとこのレオパ覚え書きにより詳しくまとめられていますのでご覧下さい。
参考図書
ヒョウモントカゲモドキ完全飼育: 飼育・繁殖・さまざまな品種のことがよくわかる (PERFECT PET OWNER’S GUIDES)
画像とタイトルのリンクはAmazonのアフィリエイトリンクとなっております。
アフィリエイトリンクを利用したくない方は、こちらをクリックして頂くとアフィリエイトを経由せずにAmazonの商品ページへ遷移出来ます。