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生殖隔離機構

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生殖隔離機構(reproductive isolating mechanism)とは、異種間での生殖を妨げる複数の仕組みです。
ヒトとチンパンジーの間に子供が出来ない、ネコとイヌの合いの子は存在しない、だからヒトとチンパンジー、ネコとイヌは別種であると言えます。

一方品種間の交配は可能です。黒色人種と白色人種の間には子供が生まれますし、イヌの全品種は互いに交配可能です。
1kgしかないチワワとその75倍も体重があるグレイトデンは直接交配出来ませんが、その中間の大きさのいくつかの品種を通じてお互いに遺伝子は交換可能です。

生殖隔離機構は複数あり、大きくは交尾前隔離機構交尾後生殖隔離機構です。

交尾前隔離機構

異種個体の接触の減少

  • a. 時間的: 交尾をする季節や、一日の中での交尾時間が異なっている場合.前者の場合は特に季節的隔離とも言う。
  • b. 生態的: 同じ地域に共存していても、生息する場所を違えて棲み分けている場合.例えば林の中でも樹冠部と中層部と林床など.

種間の交尾頻度の減少

  • c. 行動的(=性的): 求愛ダンスや鳴き声、フェロモンなど、異種の雌雄間の配偶行動が噛み合わない場合.
  • d. 機械的: 外部生殖器の構造の違いにより種間交尾が妨げられること.

交尾後隔離機構

雑種の接合子形成の減少

  • e. 配偶子と生殖管の不和号: 雌の体内に入った異種の精子がその体内環境にうまく適応していないため、卵に出会う前に弱って運動能力を失ったり死んでしまい、受精に至らないこと

雑種の生存の減少

  • f. 雑種の生存不能: 出来た雑種の生存力が弱く、性的に成熟する前に死んでしまうような場合.

雑種を通しての遺伝子拡散の減少

  • g. 雑種の行動的隔離: 雑種は機能的な配偶子を作れるが、その雑種の配偶行動が両親のいずれともうまく対応しないため交尾が成立しない場合.
  • h. 雑種の不妊: 雑種が機能的な配偶子を作れないこと.
  • i. 雑種崩壊: 雑種同士の交配や、雑種と両親のいずれかと戻し交配が起きても、その子供の生存力が弱く、性的に成熟する前に死亡してしまうような場合.あるいは雑種を何世代にもわたって交配し続けると、雑種の任性と生存率が低下するような場合.

出典: 動物分類学の論理-太陽性を認識する方法-馬渡俊輔-東京大学出版-P.56 第2章 伝統的な分類学の方法 2.4 生物学的種概念 表3