Photo By iori@geckoholic 2018-08-05
クレステッドゲッコー(Correlophus cilliatus)は樹上性ヤモリの中では多く流通し親しまれています。
種名であるcilliatusはラテン語で繊毛(「フリンジ」または「まつげ」)とまつげに似た動物の目を覆う皮膚を指しています。
1866年にCorrelophus ciliatusと分類され、後にRhacodactylus属に分類されていましたが、他のRhacodactylus属のヤモリと密接な関係ではない事が解った為、Correlophus属に戻されました。
長い間絶滅したと考えられていましたが1994年に再発見され、CITESによって保護されています。
野生のクレステッドゲッコーの輸出は現在禁止されているが、ニューカレドニアが種を輸出する許可を出す前に、生物学者が育種と研究のためにいくつかの標本を輸出しました。
これらの標本からヨーロッパとアメリカの両方で異なる育種が確立されました。
クレステッドゲッコーは現在、世界で最も広く飼育されている種のヤモリです。
名称
名称 | |
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学名 | Correlophus cilliatus |
英名 | New Caledonian crested gecko |
和名 | オウカンミカドヤモリ |
分布
ニューカレドニアの固有種であり、1994年に発見されるまでは絶滅したと考えられていました。
ニューカレドニア本島南部、パイン島および周辺の島々に生息します。
野生のクレステッドゲッコーにとっての最大の脅威は、ニューカレドニアにコカミアリ(Wassmania auropunctata)が侵入した事と思われる。
この蟻は大群で刺すように攻撃し、クレステッドゲッコーを捕食します。
特徴
全長は20~25cm前後に成長し、10~13cmの尾を含みます。
月齢15~18ヶ月、体重35gで成熟します。
寿命は15年から20年になります。
頭部はクレストが発達し、和名の「王冠(オウカン)」をかぶったような形状が特徴的です。
クレステッドゲッコーはまぶたを持たず、そのため目を湿らせ残骸を取り除くために長い舌を使います.
またcilliatusという種名にもなっているまつげの様に見える皮膚が特徴的です。
尾について
尾は先端裏側に指先と同じ、細かい鱗の束がある。
自切してしまうと玉状の物が出るだけで、元の長い尾にはならない。尾の形状は繁殖には影響ない。
指について
指と指の間に水掻き上の膜がある。
後肢の太腿部分にも余った皮膚があるのは、おそらくよくジャンプをするため。
j Photo By iori@geckoholic 2018-04-10
生態について
クレステッドゲッコーは森林の小さい枝や細い枝の間、1~4メートルの間に棲息しています。
クレステッドゲッコーは、成長期には一週間に一度脱皮をします。
完全に成長すると1〜2ヶ月に1回しか脱皮しなくなります。
ほとんどの種のヤモリとは異なり、クレステッドゲッコーは雑食動物であり、多種多様な昆虫や果物を食べる肉食動物でもあると考えられています。
飼育下ではクレステッドゲッコー用に調整された人工フードを与える必要があります。
バランスのとれていない食餌は、すぐに代謝性骨疾患(MBD)を発症してしまいます。
モルフについて
クレステッドゲッコーのモルフについては、モルフ一覧(クレステッドゲッコー)を参照してください。
再発見から流通まで
ある意味「爆発的」に殖やされた種で、繁殖の容易さもありますが当時のマニアの熱意が凄かった様です。
ある種「爆発的」に殖やされた仲間である。もちろんこれらは彼らの繁殖が比較的容易だったこともあるが、なにより当時のマニアの熱意の問題であろう。なにしろ現在最もポピュラーであるオウカンミカドヤモリが海外のマニアおよび研究者によって殖やされだしたのは、90年代の中頃である。国内への初入荷も同じ時期だったように思うが、驚くなかれツギオミカド120万円.オウカンミカド60万円という高額なものだった。彼らが普及したのはここ10年くらいの話なのである
出典: 新板 可愛いヤモリと暮す本 - 2010 - 富永明 - P52
飼育
ケージ
ケージの一辺は全長の2~3倍が望ましい。
幅30x奥行き30x縦45のケージが適切。
多くの爬虫類同様に上から何かされるのを嫌うので、水槽等に蓋をするのではなく爬虫類様の前開きのケージが望ましい。
扉はスライド式よりは観音開きの方が適している。
レイアウト
樹上性ヤモリなので立体活動できるように、流木やコルクバーク、木の枝などでレイアウトするのが良い。
登れる場所がないとガラス面に頭を下にして張り付くが、これが長期間続くとフロッピーテールという「尾曲り」「腰曲がり」を引き起こす原因となる。
床材
保湿力のあるヤシガラや腐葉土も良いが、喉につまらせる例が知られている。
基本的にヤシガラ等の床材を誤飲してしまうのは餌を食べる時なので、ヤシガラ等を使用する時はコオロギ等はそのケージ内では与えない方が良い。
後述するクレステッドゲッコーフードだと問題ない。
ケージ内でコオロギ等を放ちたい場合はキッチンペーパーやペットシーツを使用するのが望ましい。
温度
書籍では25℃から32℃とされていますが、かなりの低温(15~17℃)でもコオロギを食べ問題なく消化出来ているという方もいらっしゃいます。
ですが20℃以下の環境が最適かは不明ですので、出来る限り25℃前後で飼養する方が安全と思われます。
また低温に強く高温(30℃以上?)に弱いという意見もあります。
冬季でも大抵の場合は遠赤外線ヒーターを壁面に貼ることで問題ない(室内の温度に依る)。
湿度
乾燥は好まないが蒸れに弱い。
容器から水を飲まない事が多いので、毎晩ケージ全体に霧吹きするのが望ましい。
照明
基本的には不要。
餌について
基本的には専用の人工飼料で飼養可能であり、これが本種を爆発的な人気が出た一つの特徴である。
本種は雑食傾向が強く、人工フードが登場する前は栄養バランスを取るのが難しかったが、水で溶くだけのフードで飼育出来るようになった。
昆虫食向けのクレスフード、より昆虫食であるガーゴイルゲッコー向けのガーゴイルフード、より果実食であるジャイアントゲッコー向けのジャイアントフードなどがある。
クレステッドゲッコーにはクレスフードを使用すること。